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なぜ社員達はうちの会社を去ってしまったのか?


長、うち(営業部)の鈴木が来月末で退職したいとのことです・・。

月曜日の定例会議で、営業部の高橋部長からの報告だった。

社長:(鈴木くんが辞める・・?いつも元気よく挨拶をしてくれる彼が?)

期待していた人材の突然の退職ほど、ガッカリくることはありません。

社長:そうなのか・・。どういう理由で?

高橋部長:それが、なにか、やりたいことが見つかったとのことで・・来月じゃないとその学校の入学に間に合わないとのことです。
社長:そうか・・。他に理由は、何かなかったか?

高橋部長:これといって特に・・。

社長:・・・・・・。
(具体的に組織への不満じゃないのだろうか・・。)

鈴木君は入社2年目だが、営業成績も良く、取引先からの評価も高いようだった。
一瞬、他社から引き抜き?とも考えたが、どうやらそのような理由でもないらしい。

鈴木くんの件も含めて、最近の退職者の人数が気になった。
改めて、調べてみると、今年もうちの会社の離職者の人数が多い。

先月も総務の女性社員の阿部くんも、家庭の事情で退職したばかりだ。
何か、うちの会社に特別な理由があるように思えるが、原因が分からず、具体的な解決方法が分からない・・。

どうしても気になって、地域の経営者の集まりで一緒になる経営者仲間に聞いてみても、そんなもんだよ。と気休めを言われるだけで、あたまの中はそのことでいっぱい。
それに会社の恥を話すようなもので、こんな込み入った相談は知人の経営者にはしにくい・・・。


上記の話ですが、あなたが経営者であれば、似たような状況を経験されことがあるのではないでしょうか?
実際によくある話でもあるので、上記の話を例に話を進めさせていただきます。

※これからの話しは、従業員数が10名から100名の組織を対象にしております。それ以上の大きな組織には当てはまらないかもしれません。

はじめまして。組織活性化コンサルタントの山田真由美です。

現在、組織コンサルタントとして、活動している者です。
主に、従業員100名以下の中小企業を対象に活動させていただいております。
今まで様々な企業様の組織に携わる機会をいただいていたのですが、そんな中、経営者の方々からいただくご相談の中でも多いのは、離職に関わる相談です。

本当は、売上を上げるためどんどん新しいことを試みたいのだけど、離職率が下がらないから、マンパワーが足りない。
しかし、社内のことは気軽に人には話せない・・。

そのような状況の経営者の方が多いと感じております。
中でも、深刻な状況を招くのが、社員の離職の理由が分からないために、適切な対策を打てないままに、どんどん人が辞めていってしまうことです。

組織の問題が気になる経営者の方々に少しでもお役にたてばと思い、今までの経験を元に文章を作成しております。
経営者の方の一助になれば、幸いです。

退職者2人の3つの共通点

では、話を進めさせていただきますね。
優秀な人材であった、営業部の鈴木君と、総務部の阿部さん。
彼らは人格的にも社内で評判で、今後の活躍を期待される人材でした。
部門長がいう退職理由は、
高橋くんは、やりたいことができて専門学校に入学したい。
(他社の引き抜きではない。会社には満足している)

阿部さんは、家族の体調が悪いので、実家に帰るため。
とのことでした。(実家からの通勤は無理。)

二人には、部門長からの引き止めも行ってもらったが、退職する意思に変わりはない。

実は彼らの退職理由には共通点があります。
それは、
1. 個人的な事情の退職理由。
(退職理由が会社や社内の人物のせいではない。
 非常に前向きな理由だったり、家族のことだったりする。)
2. やや緊急性があり、退職日が明確。
(次の月には辞めたい理由であること。)
3.退職者のヒアリングは、いずれも部門長が行っている。

この3つの理由から、私は、彼らの退職理由は本当の退職理由ではないのではないか?と疑問視します。

格言「人は本当の退職理由を言わないで去る。」

営業部の鈴木くんも、総務の阿部さんも、もっともな退職理由があるように思えますが、実は本当の退職理由を隠していることが考えられます。

会社に不満をもってやめるのは退職者にいえることですが、ほとんどの場合、本当の退職理由をいうことはありません。
理由は明確で、正直な退職理由をいうことはリスクがあるからです。
例えば、上司の言動やハラスメントに悩んで退職する場合に本当のことを言ってしまえばどうなるでしょうか?

退職までの残された期間に、上司からの風当たりが強くなって嫌な思いをするかもしれません。もしかしたら、退職時に離職票などの書類の発行が遅れたり、給料や退職金の支払いなどがされないかもしれない・・。と不安に思うこともあるのではないでしょうか?

または、その理由の改善を条件として引き止められて、何度も断る話をしなければならないかもしれません。
相手にNOをいうことは、心理的に抵抗を感じる方が多いのも事実です。

それなら、多少の嘘をついても、当たり障りのない理由にしてキレイにすんなり辞めた方が良いと思うのが人情です。

もちろん、本当の理由を言って辞めて行く人もいますが、平均すると10人に1人くらいの割合です。
では、本当の離職理由はどのようなものなのでしょうか?
下記の通りです。

4つの本当の退職理由

の理由の主な4つの理由は、以下通りです。
ほぼ9割は以下の4つの理由に当てはまります。
(残りの1割は本当に辞めざるをえない理由です。)

1.上司との関係(人間関係や、指示のあたえ方。)
 上司の指示の出し方や、マネージメントの問題、上司との人間関係、ハラスメントの問題など。

2.会社の中で自分の成長が見込めない。
 社内で、自分の今後のステップアップが見込めない。
 
3.会社に明るい未来が想像できない。
 上司の姿が魅力的じゃない。活き活きしてない。
 社内での新しい試みが行えてない。

4.給料、福利厚生の問題 
 給料、会社の福利厚生の充実度です。 

以上、4つの理由になります。
1から4までの順番が退職理由の比率でもあります。
退職理由として1番低いのが4の給料、福利厚生の問題になります。
この理由を見れば、ほぼ納得の理由ではないでしょうか?

注意点は、この4つの理由どれか1つという訳ではなくなく、複数またがっている場合もあるということです。

しかし、このような退職理由を把握している経営者の方は非常に少ないのが現状です。
社内の離職理由を把握できないから、離職率を下げる適切な方策が実行できずに離職者は減らないのです。

 

なぜ社長は、本当の離職理由を知らないのか?

離職率が減らない企業で1番の問題が、社長が本当の離職理由を知らないことです。
知らないので、仮の対策を講じることすらできなくなってしまいます。
なぜ、このようなことが起こってしまうのでしょうか?
退職希望者には、部門の管理職が退職理由のヒアリングを行うことになりますが、ここに大きな問題があります。

1.管理職のヒアリング能力の欠如
管理職の退職者に接するヒアリングの能力の不足で本当の離職理由を把握できない状況です。ヒアリング能力の不足から、退職者の建前の退職理由から本当の退職理由への深堀りもできません。

2.管理職の責任回避の行動
退職の原因と責任が自分に及ぶと考えた場合、管理職の多くは正直に自分にあると報告することは少ないです。その場合も、ヒアリングは浅くなります。仮に、退職者の退職理由が建前と分かっていても、その退職理由を経営者に伝える行動をしがちです。

3.退職者との関係性
退職者との関係性によって、本音を引き出せるのか?状況も変わってきます。管理職との関係性で辞める場合、退職者が管理職に本音を語ることはほぼないでしょう。

4.報告と記録の仕組みがない。
会社によっては、情報収集の適切な仕組みがない場合も多いです。
口頭の報告のみで、離職理由を集計できてない企業が多いのも事実です。
データが蓄積されてないので、長期的な対策も講じにくいです。

5.犯人探しをしている企業風土
企業風土とは、組織の特定の考え方や行動様式を植え付ける、企業の独自の環境と定義されているそうです。
つまり、その組織の習慣のようなものです。

何か重大な問題があった際に、担当していた人間が悪いを断罪しているような組織の場合、具体的な改善策に焦点が定まらず、管理職が悪かった。

あの担当の人間性に問題があるなど、何かあった際にいつしか犯人探しをする企業風土に変化していきます。
なぜそうなったのか?どういう原因でそうなったのか?
具体的にそのような知識を得るための研修などは行っていたのか?
など、重大な問題に至る状況に向かわせない企業努力が必要になります。

企業の価値観が健全で素晴らしい場合、その企業に所属する人間が幸せになり、活き活きと仕事をする組織になります。
そのような組織は、やる気のない人間を活気のある人間に変える不思議な企業風土を持つに至ります。

離職者への引き止めは、効果がない。

退職者の2人に対して、社長の指示で管理職の部長は、どうにか会社に残ってもらえるように話をしています。
残念ながら、本当の離職理由を知っても、引き止めが成功することはほぼないでしょう。
退職理由が、会社の給料や福利厚生が理由で辞める場合に、そこを改善すると約束すれば、会社に残る従業員もいるでしょう。

しかし、ほとんどの場合、人間関係や会社の風土の問題がほとんどです。
このような理由の場合、引き止めの話が成功することはありません。
退職者の働く意欲がなくなっている場合がほとんどで、彼らの決意は固まっているからです。

できることは、本当の離職理由を聞いて今後、組織に同じようなことが起こらないように改善して再発を防止することです。

なので、離職者へは在職してくれたことへの感謝を伝えることを忘れずに行いましょう。また、可能であれば本当の退職理由を聞く仕組みを構築しましょう。

離職者の本音を聞き出すには?

先ほど申し上げましたが、退職を希望する社員の約9割は本音を言いません。なぜ言わないかというとリスクがあるからです。
それに本音を言ってメリットもありません。
もし本音を聞き出すのであれば、以下のことに注意しましょう。

1.ヒアリングする人間の人選
退職者へのヒアリングは、離職者に利害関係がなく、離職者が好感をもっている人物を任命すること。

2.安心して話せる場所の確保
他の従業員が通ったり、仕事をしているオフィスの一角でのヒアリングはやめましょう。誰も来ない会社の会議室などの場所が最適です。

3.本音を話すこで不利益が及ばないこの保証
退職理由が原因で離職者に危害や攻撃が及ぶようなことにならないようにする仕組みや約束をすることが必要です。

4.秘密が他者に漏れることのない配慮や保証
上記の理由と重複するかもしれませんが、本当のことを話すことで個人の秘密などが他の人に漏れないための配慮、保証も必要です。

仮にこのことを実行したとしても、必ずしも本音を聞き出す保証ができるわけではありません。しかし、このくらいの気持ちで離職者に向き合う規制がない限り、本音を聞き出すことは到底できないと考えましょう。

いかなる状況でも、部門長(管理職)を責めることはできない。

ここまでの話では、退職者目線の話を多くしていたのですが、誤解がないようにお伝えしたいのは、いかなる場合でも管理職の方を責めることはできないということです。もちろん、退職する側にも責任があります。

前提として、管理職は多くの仕事を抱えています。
部下のマネージメント、組織としての目標の達成、部門のクレーム処理、役員への報告など、忙しい場合がほとんどです。

管理職になって、部下との問題の適切な対処を学ぶ場は少ないです。
部下の個人差があるため、ケーススタディも難しいでしょう。
個人の考えで同じような決定を行うより、管理職を指導した前任者のやり方を踏襲して、同じように部下に接した結果かもしれません。

社内の部門も職種の違いから、人気部門と不人気部門があることもあると思います。その場合、社内の部門ごとに離職率にも格差が生じやすくなります。勿論、このような場合も、担当の管理職を責めることはできません。

それに、組織の中で自分の評価を下げたくないと思うことは、人であれば当たり前のことです。

経営者として必要なことは、事実の把握と離職の問題を部門ごとの問題ではなく、会社全体の問題として捉え、長期的に取り組むことです。
このような大きな改革は経営者自身でしか、実行できないものだからです。

コンサルタントに依頼する場合の注意点

前項で信頼できる第3者として、コンサルタントにヒアリングや研修などをお願いする場合もあるかもしれません。
しかし、コンサルタントを導入したことで、会社がより混乱するという事例があることも事実です。
コンサルタントやコンサルタント会社を選ぶ際には下記のことにご注意ください。

1.ヒアリング能力が高い
当たり前のことですが、ヒアリング能力が高いコンサルタントを起用しましょう。人の話を聞いているようで、話を聞かずに持論を押し付けるような方は避けましょう。
また、分からないことなどを素直に聞く人であることも重要です。
離職の問題は非常にデリケートな問題です。
分かったフリの理解で物事を進めていくことは、避けなければいけません。

2.会社の規模や状況に合わせられる
例えば、中小企業に大企業向けの方策を行っても、あまり意味がない場合が多くあります。同じ用に、必要な研修や退職者との接し方も組織の状況や規模によって変わるものです。

3.何があっても経営者の味方か?
従業員のヒアリングをしていて同時に組織や経営者を非難するような言動をしてしまう方もおられます。コンサルタントが個人や組織を非難することは、組織の問題をより複雑にしてしまうものです。

4.事前に担当コンサルタントとの面談があるか?
コンサルタントは個人で活動している方と、営業会社に所属している方とに分けられます。後者の場合、研修の当日まで担当のコンサルタントが分からないというケースもありえます。
営業マン経由だと、伝言ゲームになってしまい、具体的なニーズが担当コンサルタントに伝わりにくいということがよくあります。
事前に担当のコンサルタントと研修の目的などについて直接話す機会があるか?などを注意されてください。

5.いざとなったときにすぐに電話で相談できるか?
人や組織の問題というは、意図しない時間に急に起こるものです。
そんな緊急性のある状況で、月に1回の決まった時間に相談では、話になりません。いざとなったら、休日にでも相談できるコンサルタントを選びましょう。

離職者が出ない出ない組織とは?

離職率を減らすには、魅力的な組織に生まれ変わることが必要です。
魅力的な組織とはどのような組織でしょうか?
経営者が考える魅力的な組織と、従業員が考える魅力的な組織には溝があります。そのことを明確にしていく必要があります。
例えば、みんな元気で、責任感をもってやる気に満ちあふれて活き活きと仕事をしている組織はどうでしょうか?
また、生産性も高く、助け合いの精神がある職場はどうでしょうか?
そのような魅力的な組織を、経営者と従業員とで明確にしつつ、そのような組織につながるような具体的な行動を長期的に実践して、組織の習慣にするしか道はありません。

生活習慣病の治療と同じで、短期的に薬の処方で対処するより、食事と生活習慣を変えて実行していくのが最終的には近道です。

離職率が上がっているというは、離職の少ない魅力的な組織に生まれ変わる機会でもあるのです。
多くの経営者は、給料や福利厚生が多くの退職理由と勘違いして、給料をあげることや、福利厚生の充実を目標にしています。これは経営者が常に数字に関心があるため、自身の価値観を投影している場合が多いと思われます。

しかし、従業員目線を基準にすると、人間関係や、やりがいなどの感情的なところを満たしてくれる組織なのか?が重要になってきます。もちろん、感情的なことに注力しすぎて売上が上がらないというのはいけません。


そのような相互の価値観に合致する企業倫理、行動指針を作成して、具体的に行動レベルで実践していくしか道はないと私は考えます。

何かトラブルや障害があった時に、どのように実践するのか?
ケーススタディをみんなで話合う必要もあると思います。

長期的に実践することで、組織の習慣が改善されて、いつしか無形の有益な企業風土が自然に新入社員にも伝播されていくのです。

離職率が少ない組織になるステップ

離職率を減らすには、魅力的な組織に生まれ変わることが必要です。そのためのステップは以下のとおりです。

1. 社長が組織の現状、事実を正しく把握。
例えば、なぜ退職者がでるのか?
退職者の隠している本当の退職理由、組織の風土などを労働者目線で正しく認識。

2. 社長手動で短期的に実行できる離職対策を実施。
1.の現状把握から、離職対策は管理職に任せっきりになっている場合がほとんどですが、社長や経営幹部が自ら取り組まない限り現状は変わりません。
人為的な理由や、ハラスメントがある場合も、原因となった方を責めずに同じことが起こった際に防止に努める方策を実行していくことが大事です。

3.中長期的に取り組む離職対策を実施。
ハラスメントの研修や、退職者が離職した場合のケーススタディなどを行っていきます。
今後も同じような離職のパターンに陥らないように、社内で研修や情報共有などの仕組みを整備していきましょう。
同時に社内で、仕事が楽しい、やりがいがあることとはどのような場合なのか?の意見を集めていきましょう。

4.社長手動で長期的に魅力的な組織になる仕組みを構築。
魅力的な組織とはどのような組織でしょうか?
経営者が考える魅力的な組織と、従業員が考える魅力的な組織には溝があります。そのことを明確にしていく必要があります。
例えば、みんな元気で、責任感をもってやる気に満ちあふれて活き活きと仕事をしている組織はどうでしょうか?
また、生産性も高く、助け合いの精神がある職場はどうでしょうか?そのような魅力的な組織を、経営者と従業員とで明確にしつつ、そのような組織につながるような具体的な行動を長期的に実践して、組織の習慣にするしか道はありません。

生活習慣病の治療と同じで、短期的に薬の処方で対処するより、食事と生活習慣を変えて実行していくのが最終的には近道です。

離職率が上がっているというは、離職の少ない魅力的な組織に生まれ変わる機会でもあるのです。
多くの経営者は、給料や福利厚生が多くの退職理由と勘違いして、給料をあげることや、福利厚生の充実を目標にしています。

しかし、それより大事なことは、企業倫理、行動指針を実践していくしか道はないと私は考えます。
何かトラブルや障害があった時に、どのように実践するのか?
ケーススタディをみんなで話合う必要もあると思います。

長期的に実践することで、組織の習慣が改善されて、いつしか無形の有益な企業風土が自然に新入社員にも伝播されていくのです。

あなたの組織は状態を診断しませんか?

魅力的な組織にする前に1番大事なことは、現状を知ることです。
しかし、自分のことが自分ではよく分からないように、自分の組織のこともよく分からない経営者の方がほとんどです。
原因は様々な感情が生じるからです。

自己記入の適性テストに誤差が生じるように、組織の現状を知るときも感情が事実を誤認させてしまいます。
また、組織の相談も承っております。
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